平凡ガールと双子アイドル~白と青の王子~
秘密の場所*4
足を進めると、だんだんとその人がハッキリと見えてきた。
頂上に一つだけ置いてあるベンチに腰を掛けていた。
と、その時__。
『わ...』
私は、その光景に目を奪われてしまった。
ベンチに座り空を見上げるその男の人の横顔はあまりにも綺麗で...まるでひとつの絵画を見ているようだった。
月光があたり輝く鼠色の艶やかなストレートな髪。ガラス玉のような澄んだ青い瞳は、たくさんの星をうつしていた。
横顔だけでも分かるほど、整った顔立ちをした彼は、ただ静かに空を眺める。
(綺麗...)
思わず口から出そうになるも、思わず呑み込んだ。
なんとなく、この場を離れなくてはならない気がしてくるっとUターンをする。
しかし__。
「だれ?」
『ひっ!?』
(こ、声をかけられてしまった...)
焦る心を誤魔化しながら、ゆっくり口を開いた。
『じ、じっと見すぎてしまって、すみません!あの、お邪魔ですよね、すぐ帰るので!』
「......」
咄嗟にそう言ったものの、男の人は何も返事をしない。
急に不安な気持ちが強くなる。
「...あんた、俺のファンじゃないの?」
『はい...?』
「だから、俺のことつけてきたとかじゃないわけ?」
『つけっ!?違いますっ、あの、この場所が私好きで!』
(あれ、この人、よく見るとどこかで見たことがあるような...?さっきファンがなんとかって言ってたし、まさか...!)
『桐生...葵?』