【短】青空なんて、いつもみえない。
「俺さ、園田と初めて話したあの日、練習試合でミスを連発したんだ」
倉山くんが、ゆっくりと話し始めた。聞き逃さないように、耳を傾ける。
「先生には、『まわりを信用していないってぐらい、勝手なプレーだった』って言われた。
それで、どうしようもなくなって、あの公園に行ったんだ」
……それが泣いていた理由なんだ。
倉山くんは、頑張ろうと思っていたのだろう。
しかし、その思いは、まわりとうまく連携できなかったんだ。
「それで、思ったんだ。また、青空がみえなかったって。
朝、空がまだ白いときから学校に向かって。青空が出てる時間は、いつもバスケか授業。空をみることもできず、箱のなかにとらわれた気分で過ごしたあと、藍色の空に囲まれて、家に帰る。
それが、嫌だった」
あぁ、そうか。
美術部は、部活が終わるのがはやい。
まだ空が明るい、青空のみえる時間に帰れる。