【短】青空なんて、いつもみえない。
『あれ、めちゃめちゃすきなの』
そういう意味ではないと、私に向かってじゃなく、私の絵に向かってだとわかっていた。
それなのに、“すき”の2文字が目の前をちらついて、口をパクパクさせてしまう。
『だから俺、園田さんに絵を描いてもらえたらいいなぁとか思ってたんだ』
……なんて、衝撃的なこともさらりと言ってしまうから。
『描きたい』
小さすぎる声で、返事をしてしまった。
彼は、社交辞令で言ったのかもしれない。
……が、この際どうでもよかった。
描く口実に、なるのなら。……つかう以外、なかった。
瞳を輝かせて『ほんとに!?』と訊くから、何度もうなずいた。