【短】青空なんて、いつもみえない。







「倉山くん」



部活が終わって、校門を出たところで、彼を呼び止める。



「絵、完成したの」



スケッチブックを開いてみせると、「わぁ」と声をもらした。



「すごい、これ……身体の線だけじゃなくて、表情も、汗も、目線も、全部丁寧に描かれてる……」



まるで誰かに説明するようなくちぶりに、思わずふっと笑った。



「あー、俺、やっぱ園田の絵、すきだ」



屈託のない笑顔で言われ、ドクンと鼓動がはやまり、目に力が入った。



私、いつからこんなに欲張りになったんだろう。



もっともっと、倉山くんを描きたいと思うなんて。
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