没落貴族の娘なので、医者として生活費を稼いでいます!
患者でないなら帰ってください
***
実家に帰ってから一ヶ月後・・・


今日はついにコーネリアが社交界デビューする日だ。


「今日はお城で舞踏会が開かれるらしいねえ」

家で足をくじいたという近所のおばあさんのために、湿布と痛み止めの薬を調合しているとおばあさんがそういった。

「らしいなあ。なんでも第一王子のお妃捜しらしいぞ」

「あら、お妃?なら私も行きたいわ~」

「おい、おまえ旦那いるだろう!」


「あの・・・ここ喫茶店じゃなくて診療所なのですが・・・」

なぜかうちの診療所は風邪などの流行病が流行していないときは、近所の人々の休憩所となる。
本日もけがも病気もしていない元気なご近所さんが4,5人お茶を飲んでほっこりしている。


「まあそんなに堅いこと言うなよ。おまえも一応貴族の娘だろ?行かないのかよ?」

「あんなものに行く暇はないです。それに興味ありませんし。ここで新しい薬の開発している方がよっぽどいいです」

「たしかにシエルちゃん興味なさそうよねえ」

「シエルが着飾ってるところなんて想像就かねえしなあ」


・・・勝手に話のネタにされて笑われている。全くひどい人たちだ。


「シエルさん、顔が怖いです」

湿布を作りながらハルが恐る恐るいう。

「ああ、ごめん」

「ハル君、大丈夫よ。口では迷惑だって言っているけれど、本当は嬉しくて仕方がないのよシエルちゃん」


さらっとノーラさんが爆弾を落とす。

「え、ちょ、ノーラさん!!」

「あらあら、顔が真っ赤よ?」


一応ここの経営者は私だが、年上のノーラさんには頭が上がらない。
ノーラさんを怒らせると本当に怖いし・・・



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