没落貴族の娘なので、医者として生活費を稼いでいます!
「休んでいる時間などない」

「休んでください」

「無理だ」

何を言っても無理だの一点張りな青年にイライラが募る。


「・・・寝ろ。寝た方が確実に作業効率も上がる。寝不足の頭で何か素晴らしいことができるとは思えん」

「おまえ、俺の身分わかってんのか」

「ええ、わかっていますとも。この国の王族の方ですよねえ?」

「ちっ、腹立つやつだな。さっさと薬を処方しろ」


イライラしてつい敬語を飛ばしてしまったが、不問だった。意外と優しいところもあるのかもしれない。

「だから、薬なんて出しません」

「なぜだ。おまえさっき寝ろと言っただろう、睡眠薬さえ処方してくれればーーー」

「、だーかーらー、診察だけって言ったじゃないですか!!あと、睡眠薬でその場しのぎはよくない」


睡眠薬を処方すれば確かにしばらくは寝ることができるだろう。しかしそのうちもっと強い睡眠薬でないと寝れなくなる。それが永遠に続けば確実に体に毒だ。どんな薬も服用しすぎは体にとって毒にしかならない。


「ではどうすればいい」

なぜオーガストは私に任せたのか、私ができてオーガストができないことなどない。なのになぜ。しかし何はともあれ睡眠薬は処方したくない。

(どうするシエル。考えろ、おまえは医者じゃないか。なにか、なにか策が・・・)

「あ」

「?」

「わかりました。お茶を処方します」

「茶?茶がなんになる。以前部下がハーブティーを煎れてくれたがまったく効果がなかったぞ」


「ええ、おそらくそのハーブティーは市販のものですから。医者ならば患者さん一人一人に合わせてハーブティーをブレンドできます」
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