没落貴族の娘なので、医者として生活費を稼いでいます！
ハルはオーガストに連れられてここに来たときは、態度も偉そうで本当に何もできなかった。
オーガストからは平民の子で、ハルの父親とは友人だと言われたがハルの態度は貴族そのままだった。

指示を出すたびに反抗し、料理を任せれば包丁の握り方さえ知らない。
最初は我慢していたが、診療所に来てから一ヶ月たった頃に我慢の限界で思いっきり叱ってやった。そのときの説教が効いたらしく、今ではすっかり改心しいい子になった。


「なつかしいね～。反抗してばかりだったからね、ハルは」

「シエルさんまで。やめてください！！」

「ごめんごめん」

こうやってハルのことをからかいながら食事をとるのが日常の光景となっている。



「そういえばシエルちゃん。最近実家に帰ってる？」

「いや、全然ですね」

「たまには帰らないと、レティシア子爵が悲しまれますよ？」

「うちは放任主義だから大丈夫」

「でもまさか貴族のご令嬢がね～。こんなところで医者をしているなんて」

「ノーラさん･･･それいつもいってます」


レティシア子爵とは私の父。父であるロナルドは第１５代目のレティシア子爵である。
しかし子爵といえば四つある貴族階級の中で一番下の階級、さらに先代レティシア子爵が事業に失敗して以来常に資金不足に喘ぐ没落貴族だ。

昔は白亜の館で有名だった家も、薄汚れツタだらけ。外装を直すお金も雨漏りを直すお金もない。
今では幽霊屋敷だなんていわれている。
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