没落貴族の娘なので、医者として生活費を稼いでいます！
「なんでまた来たんですか？」

ハルが不機嫌なのを隠そうともせず言ってくる。
ハルはいつも穏やかで優しい子なのに、レイのことになると途端に厳しくなるし不機嫌になる。


「この前もらったハーブティーがなくなったから、もらいに来たんだ」

「それなら従者に取りに来させればいいでしょう」

「ハル、落ち着け」

「･･･ごめんなさい」


どうしてハルがレイをこんなに嫌うのかわからないけれど、レイはこれでも患者さんなのだからひどく言ってはいけない。

もしかしたら二人は前からの知り合いかもしれない、そう思ったりもするが私はハルの過去や正体を問い詰めたくないから、何も触れないでいる。


「とりあえず！私今から急いでドリア作りますね。えっと、貴方のお名前は･･･」

「レイだ」

「レイ君ですね」

「れ、レイ君･･･？」

ノーラさんに君付けされて、レイは目を白黒させている。貴族の息子だから、君付けされることはないだろうし驚いたに違いない。
見た感じノーラさんより年下なのでノーラさんは君付けにしたのだろう。

そういえばハルも初めてハル君と呼ばれたときは驚いていた。


「ええ、私より年下でしょうからレイ君です。レイ君はドリア食べる？」

「い、いや、いい」

まあ外で出されるものはむやみに食べてはいけないと言われているだろうから当然だろう。

「わかったわ。じゃあシエルちゃんとハル君は少し待っててね」

「「はい」」

二人そろって返事を返すと、ノーラさんは鼻歌を歌いながらキッチンに入っていった。


「じゃあ今のうちにハーブティー作る。診察室に来て」

「わかった」

「ハルはノーラさんの手伝いを･･･「いえ！ハーブティーのブレンドを見学させてください！！」･･･わかった」

ということで私たち三人は診察室に向かったのだった。
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