一昔前の、中学生活
第五節 カミングアウト
カラオケボックスから出てきた俺と梨々は、その後も卓球やバドミントンをしたり、優が行きたがっていたサイエンス実験場に行ったりした。
残りの時間が10分しかなくなっていたので、 二人は休憩場にある椅子に腰をかけて終了時間までお話をしてみんなを待つことにした。
「隼くん今日は本当にありがとう!梨々、すっごく楽しかったよ!」
身体をこちらに向けながら、梨々は明るい太陽のような笑顔でそう言った。
「こちらこそありがとう!梨々さんとペアになれて本当に良かったよ」
俺も素直な気持ちを言った。
「梨々さんのいいところも沢山知ることができたし!梨々さん凄く楽しそうだからこっちまで楽しくなってきたんだよ!」
「ありがとう隼くん!そんなに嬉しいことを言ってくれるのなんて、隼くんだけだよ!」
屈託のない笑顔でまたそのようなことを言う。
梨々さんなんだから、本当はもっと沢山言われているだろうに……
本当に梨々さんには歯が立たない。
「隼くんとデートしたらこんな感じなんだろうなぁー!」
不意に梨々が呟いた言葉に、心臓がかなりドキンとした。
「えっ………デッ、デート!?」
「うん!きっとこんな風に楽しいんだろうなぁ!」
それは………どういう意味で言ってるのか……
「でも彼女さんが相手だったらもっと大切にするのかな!?」
「梨々さんは大切だよっ!?」
梨々の言葉に、つい口走って言ってしまった。
だって…………
梨々だからなのに………
梨々だから、梨々といる空間だったから、一つひとつの瞬間を大切にしようと思っていたのに………
勿論、梨々以外の友達やみんなも比べられないくらい大切だし、一緒にいられる時間は嬉しいと思えるよ。
だけど…………
梨々への感情は、明らかに特別なんだ…………
でも、梨々にはその感情は伝わっていないみたいなんだ………
だからそんなに、期待してしまうことを言ってくれるんだ…………
そうだとしたら、梨々の好きな人は、やっぱり俺ではないのかもしれない。
梨々が誰にでも優しくて、ドキドキするようなことを無意識に言っているのだとしたら…
「………隼くん?」
気づけばしばらく黙り込んでいたらしい。
梨々が心配そうに俺の顔をのぞき込んでいる。
「大丈夫?」
「あっ、うん!大丈夫大丈夫!ごめんね、ちょっと考え事してて………」
「考え事?もしかして好きな子のこととか?」
いやいやいやいや、どうしてこんなにピンポイントなんだ!?
まるでさっきから俺の心を丸透視されているみたいだよ……
「えっと……その………」
「そうだっ!そう言えば朝に隼くんと恋のお話しようって決めたんだったね!折角だし、この機会に……」
「いやっ!でもあのコレは…………」
(言えば告白になってしまう……)
そう言いかけて、慌てて飲み込んだ。
「じゃあ……梨々の相談聞いてもらってもいい?」
『相談』
この単語が出てきた瞬間から、何となく覚悟は出来ていた。
「いいよ」
「ありがとう!………あのね、梨々の好きな人………4人の中にいるって言ったでしょう?」
「うん…」
「その4人の中の一人っていうのはね………」
何の覚悟かと言うと、それは勿論…………
「優くんなの………」
梨々の好きな人が、俺ではないっていう覚悟。
残りの時間が10分しかなくなっていたので、 二人は休憩場にある椅子に腰をかけて終了時間までお話をしてみんなを待つことにした。
「隼くん今日は本当にありがとう!梨々、すっごく楽しかったよ!」
身体をこちらに向けながら、梨々は明るい太陽のような笑顔でそう言った。
「こちらこそありがとう!梨々さんとペアになれて本当に良かったよ」
俺も素直な気持ちを言った。
「梨々さんのいいところも沢山知ることができたし!梨々さん凄く楽しそうだからこっちまで楽しくなってきたんだよ!」
「ありがとう隼くん!そんなに嬉しいことを言ってくれるのなんて、隼くんだけだよ!」
屈託のない笑顔でまたそのようなことを言う。
梨々さんなんだから、本当はもっと沢山言われているだろうに……
本当に梨々さんには歯が立たない。
「隼くんとデートしたらこんな感じなんだろうなぁー!」
不意に梨々が呟いた言葉に、心臓がかなりドキンとした。
「えっ………デッ、デート!?」
「うん!きっとこんな風に楽しいんだろうなぁ!」
それは………どういう意味で言ってるのか……
「でも彼女さんが相手だったらもっと大切にするのかな!?」
「梨々さんは大切だよっ!?」
梨々の言葉に、つい口走って言ってしまった。
だって…………
梨々だからなのに………
梨々だから、梨々といる空間だったから、一つひとつの瞬間を大切にしようと思っていたのに………
勿論、梨々以外の友達やみんなも比べられないくらい大切だし、一緒にいられる時間は嬉しいと思えるよ。
だけど…………
梨々への感情は、明らかに特別なんだ…………
でも、梨々にはその感情は伝わっていないみたいなんだ………
だからそんなに、期待してしまうことを言ってくれるんだ…………
そうだとしたら、梨々の好きな人は、やっぱり俺ではないのかもしれない。
梨々が誰にでも優しくて、ドキドキするようなことを無意識に言っているのだとしたら…
「………隼くん?」
気づけばしばらく黙り込んでいたらしい。
梨々が心配そうに俺の顔をのぞき込んでいる。
「大丈夫?」
「あっ、うん!大丈夫大丈夫!ごめんね、ちょっと考え事してて………」
「考え事?もしかして好きな子のこととか?」
いやいやいやいや、どうしてこんなにピンポイントなんだ!?
まるでさっきから俺の心を丸透視されているみたいだよ……
「えっと……その………」
「そうだっ!そう言えば朝に隼くんと恋のお話しようって決めたんだったね!折角だし、この機会に……」
「いやっ!でもあのコレは…………」
(言えば告白になってしまう……)
そう言いかけて、慌てて飲み込んだ。
「じゃあ……梨々の相談聞いてもらってもいい?」
『相談』
この単語が出てきた瞬間から、何となく覚悟は出来ていた。
「いいよ」
「ありがとう!………あのね、梨々の好きな人………4人の中にいるって言ったでしょう?」
「うん…」
「その4人の中の一人っていうのはね………」
何の覚悟かと言うと、それは勿論…………
「優くんなの………」
梨々の好きな人が、俺ではないっていう覚悟。