恋の宝石ずっと輝かせて2
第一章 妨げられた眠り
1
高校生活最後の夏。
体育館で一通りの終業式を終えた後、春日ユキが教室に戻ろうと沢山の生徒の中に混じって歩いているときだった。
「春日先輩!」
後ろから自分の名前を呼ぶ声がする。
ユキが振り返れば、見知らぬ下級生の女の子が挑むような目を向けていた。
小柄で目がパッチリとしたかわいい女の子なのに殺気立った睨み。
ユキはたじろいだ。
大勢の生徒が大移動してる廊下でふたりが立ち止まったままでいると、周りは邪魔だと言わんばかりに冷たい視線を向けて流れていく。
ここに突っ立ったままでいたら迷惑だ。
「あ、あの、何か御用?」
ユキがその女の子に近づく。
さっきよりも彼女の目つきが鋭くなったような気がした。
ユキと面と向かって対峙すれば、怒りを抑え込むのが我慢できない感情で彼女の体が震えている。
「話があります。今日、全てが終わったら校舎の裏の林に来て下さい。私そこで待ってますので」
今にも爆発しそうな怒りを抑え、それでいて精一杯の強気を備えて一気に話した。
まるで喧嘩の果たし状だ。
あっけに取られたユキを放っておいて、その女の子は言いたいことを言うと大勢の人の流れに加わり、流されていくようにさっさと去っていく。
一体自分はあの子に何をしたのだろうか。
首を傾げたあと、教室に戻るために人の流れに加わった。
高校生活最後の夏。
体育館で一通りの終業式を終えた後、春日ユキが教室に戻ろうと沢山の生徒の中に混じって歩いているときだった。
「春日先輩!」
後ろから自分の名前を呼ぶ声がする。
ユキが振り返れば、見知らぬ下級生の女の子が挑むような目を向けていた。
小柄で目がパッチリとしたかわいい女の子なのに殺気立った睨み。
ユキはたじろいだ。
大勢の生徒が大移動してる廊下でふたりが立ち止まったままでいると、周りは邪魔だと言わんばかりに冷たい視線を向けて流れていく。
ここに突っ立ったままでいたら迷惑だ。
「あ、あの、何か御用?」
ユキがその女の子に近づく。
さっきよりも彼女の目つきが鋭くなったような気がした。
ユキと面と向かって対峙すれば、怒りを抑え込むのが我慢できない感情で彼女の体が震えている。
「話があります。今日、全てが終わったら校舎の裏の林に来て下さい。私そこで待ってますので」
今にも爆発しそうな怒りを抑え、それでいて精一杯の強気を備えて一気に話した。
まるで喧嘩の果たし状だ。
あっけに取られたユキを放っておいて、その女の子は言いたいことを言うと大勢の人の流れに加わり、流されていくようにさっさと去っていく。
一体自分はあの子に何をしたのだろうか。
首を傾げたあと、教室に戻るために人の流れに加わった。