恋の宝石ずっと輝かせて2
「これ、楓太。やめなさい」

「だったら、花梨さんが今連絡して、直接その女の子からジンの連絡先聞いてもらえませんか」

「そうね、それがいいわね。ちょっと待ってて」

 花梨は奥に引っ込んでいったが、玄関先からも電話をしている声が聞こえてきた。

「ちょっと待って」と受話器を押さえて廊下に顔を出してカネタに話しかける。

「なんでも新田さん、今ちょっと疲れているみたいだから、連絡するのを躊躇ってるみたいなの。その代わり、春日さんが、代わりに取りに来るって言ってるけど」

「そうですか。早く返したいのでそれでもいいです。それじゃ俺が任されてる畑に来てくれって言ってもらえますか。もみじ山に向かう通りで古ぼけた看板がある小屋のところを左にまがって真っ直ぐ突き抜けるだけですから」

 花梨は言われた通りにユキに伝えていた。

 カネタは仁でもユキでもどっちでもよかったが、ユキの方が一度赤石のことについて見つけたと言ったのを思い出してうってつけだと思った。

 カネタはお礼を言うと、すぐに去っていく。

 途中、足元で唸る楓太を睥睨したが、そのあとは馬鹿にするように口元を少し上げていた。

 邪悪な雰囲気を感じ取った楓太は監視しようとカネタの後をついていこうとしたが、その寸前で花梨に首輪を引っ張られてしまった。

「楓太、いい加減にしなさい」

 足止めをくらい、仕方がないと楓太は諦めた。

 その代わり遠吠えをして、キジバトを呼び寄せ、カネタの様子を探って欲しいと信号を発していた。
< 209 / 253 >

この作品をシェア

pagetop