ロスト・ラブ


大好きな人に伝える『大嫌い』が、こんなにも辛いものだとは思わなかった。


もう、颯太なんか好きじゃない。



好きでいたって、今の私には意味がないから。



***


──ブーッ、ブーッ。

「……ん」


スマホのバイブの音で、目を覚ました。


もぞもぞと布団の中から手を伸ばして、スマホを手に取る。

手に取っただけで、それを握りしめたまま再び瞼が重くなった。


……すごく嫌な夢を見た気がする。

思い出したくもない、過去の夢。


原因はきっと、いや確実に、昨日の出来事のせい。


瞼が重いのは多分、夢を見ながら泣いたからだ。

だって、枕が濡れている。


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