ロスト・ラブ
「ごめんね、茜ちゃん……」
「……もう、なんで胡桃が謝るのよ」
「だって」
「助けてくれてありがとね、胡桃」
シュンとしている胡桃の頭を、よしよしと撫でてやる。
手の震えはもう止まっていた。
本当、高校に入って胡桃と出会ってから、私はずっと胡桃に助けられている。
きっとさっきも、胡桃がいなかったら私は……。考えるだけでも恐ろしい。
私は、普通じゃない。
異様な拒絶反応。吐き気、めまい、震え。
全部全部、中学のあの日から、私の人生は変わってしまった。
『沢野さんは、極度の男嫌い』
校内では、そんな噂で私のキャラが決められているらしい。
けど実際、その噂は間違っている。