ロスト・ラブ


その声に颯太もピタリと足を止める。


私も足を止めてくるっと振り返ると、そこには満面の笑みで駆け寄ってくる胡桃の姿があった。


「おはようっ、茜ちゃん。柳くんも」

「うん、おはよう。胡桃」

「はよ」


今日も可愛い胡桃の笑顔に、颯太は相変わらずの無表情。


……せっかく胡桃と話せるチャンスなのに、何考えてるんだか。


そんなことを考えている自分に胸が少しチクッとしたけど、気のせいってことにしておきたい。


「あっ、胡桃ちゃんだ。おはよう」


近くを通りかかった男子生徒の1人が、一緒にいた胡桃の姿を見つけて足を止めた。


完全に目がハートなのはいつものこと。


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