ロスト・ラブ


「おい、抜け駆けすんなよ!」

「俺らにも挨拶させろよなー」


けど今日に限っては、1人が胡桃に挨拶したのを皮切りに、それに乗じて自分もとどんどん男子が集まってきてしまった。


まずい、と思うより先に体が動いてしまう。


「ちょっと、やめ───」

「お前ら、朝からうっとうしいぞ」


やめなさいよ、と。

胡桃の前に立って言おうとしたのに、そんな私のさらに前に出た颯太が、そう言って私の言葉を遮ってしまった。


「なんだよ柳。邪魔すんなよなー」

「バーカ、周り見ろ。道塞いでんだよ」


文句を言う男子たちをうまく言いくるめながら、颯太はその男子たちと校舎の中へ入っていく。


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