ロスト・ラブ


そしてそれは、当然胡桃にもバレてしまうわけで。


「茜ちゃん!違うの!」


必死そうに大声を出した胡桃は、思わず立ち上がってしまっていた腰を下ろした。


「胡桃?」

「違う。違うんだよ、茜ちゃん。柳くんが守ってるのは……っ」

「────篠原」

「っ!」


訴えようとした胡桃のその言葉は、最後まで発せられることはなく。


どこからか現れた颯太の声によって、遮られてしまった。


「や、柳くん、でも……」

「余計な事言わなくていい」


突然始まった二人の会話に、完全に私は蚊帳の外。


チラッと私の顔を見た颯太は、変わらず何を考えてるのかはわからなかった。

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