ロスト・ラブ
彼らにお辞儀をしたらしい胡桃も、そんな私のあとについてくる。
「茜ちゃん、大丈夫?」
「うん、ヘーキヘーキ」
隣に並んだ胡桃が、ギュッと私の手を握った。
「へへ、やっぱまだダメだね。どうしても震えちゃう」
「ううん、そんなことない!茜ちゃんはすごいよ!」
ヘラッと笑った私に、胡桃は全力で褒めてくれるから心強い。
「あれ、今のって……あの沢野さんだよな?」
「だよな。……なんか、ちょっと雰囲気変わってね?」
ここ数日、少しだけ意識を変えた。
男の人は嫌い。……怖い。できることならもう一生関わりたくなんかない。
けど、いつか颯太から言われた言葉もまた事実だなと、冷静に思うことができたから。