ロスト・ラブ


だ、だって、まさかこっち見てるなんて思わなかったんだもん。

な、なんか、緊張する。


机は4個くっつけて、私と胡桃、颯太と須藤くんがそれぞれ隣同士。


私の正面には颯太が座っていて、なんだか面と向かって前にいられると困るものがある。


「……お前、平気なの?」

「え?」

「あー……、いや、なんでもない」


不意の颯太の言葉に驚いて、思わずその目を見た。


けれど次は颯太が気まずそうに視線をそらして、数秒の沈黙。


「で?どこがわかんないわけ?」

「えっ」

「教えてやっから。ほら、言ってみ」


かと思えば何かを切り替えたのか、再び私に向き直った。


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