ロスト・ラブ



「ほんっと、柳って沢野さんに容赦ないよな」

「お前ら本当に幼馴染?」


クラスの人たちがそう言ってはやし立ててくることにももう慣れた。



同じ小学校や中学校の仲間もいるから、私たちが幼馴染だなんて情報は1年の入学式の日にあっという間に広まった。


こんな他人には関係のない話がどうしてそこまで広まるのか。理由はただひとつ。



「ねぇねぇ柳くん!早くこっちに来てよーっ」

「あ、ずるーい。あたしもあたしも!」



……颯太が、無駄にモテるから。



薄い唇に通った鼻筋。キリッとした奥二重。そして、一度も染めたことがないであろう真っ黒な髪。


カッコいい……からだ。悔しいけど。すごくカッコいいから。



だから小さい頃からずっと、目立つ颯太の横にいた私はよく話題にされていた。




だからもう、諦めている。いつものことだ。



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