ロスト・ラブ
女の子たちに呼ばれた颯太は、気だるそうにしながらもその子たちの元へと行ってしまった。
それを横目に見て、心底ホッとする。
幼馴染と聞くと、誰もが勝手に仲良しなイメージを頭に植えつける。
そのおかげで、私への颯太の態度のを見た周りは逆に茶化してくるんだ。面白おかしく。
「……颯太なんか」
颯太なんか、大嫌いだ。
「茜ちゃん、本当に大丈夫……?」
「うん、大丈夫だよ。ありがとね、胡桃」
私には胡桃がいる。ただ、それだけでいい。