ロスト・ラブ
中1の6月。
時間は、19時を少し過ぎた頃。
仕事から帰ってきたであろう茜の母さんが、真っ青な顔色で俺の家まで尋ねに来た。
外はもう暗い。
友達と遊んでから帰ってきた俺でさえ、もうとっくの前に家に帰ってきてる。
「颯太くん、今日は茜と一緒じゃなかった?」
「え……あ、はい」
もう一緒に登下校はしないと言ったばかりです、だなんて言えるわけもない。
茜が、まだ帰ってない?
『颯太のバカ!大っ嫌い……!!』
放課後の会話を思い出して、心臓がドクンと嫌な音を立てる。
あのバカ、心配かけやがって。
そんな簡単に思えたらどれほど楽か。
さすがにこんな時間になっても帰ってこないのはおかしいと、おばさんと一緒に母さんと父さんも探しに出て行くことになった。
俺は俺で、茜がいつ帰ってきてもいいように玄関で待つ。