ロスト・ラブ
「茜ちゃん……っ!もう熱は大丈夫なの!?」
学校へ行くと、教室にいた胡桃が真っ先に飛んできた。
熱が出たあの日から、1日休んでの今日。
たった1日しか休んでないはずなのに、胡桃の顔を見るのがひどく懐かしく感じる。
「うん。ずっと寝てたらもうすっかり。心配かけてごめんね、胡桃」
何かと心配をかけてばかりの胡桃の頭を撫でると、「本当だよ~」なんて半泣きになるものだから、おかしくてつい笑ってしまった。
「茜」
「っ、」
そして心配をかけてしまったのは、胡桃だけじゃない。
「病み上がりなんだから、あんまバカなことすんじゃねぇぞ」
「わ、わかってるってば」
今日も一緒に登校してくれた颯太は、そんなそっけない言葉を残して自分の席へと戻っていく。
それでも、なんだか今日はやけに優しい気がするのは気のせいかな。