ロスト・ラブ


いつものふんわりした可愛い胡桃はどこへやら。

私の反応がよっぽど珍しかったのか、胡桃はどうやら興味津々な様子だった。


「ちょ、胡桃」

「えへへ、冗談。冗談だってば、茜ちゃん」


そう言ってニコニコ笑う割には、すごく楽しそうな胡桃。


……もう。

恥ずかしいとは思いつつも、胡桃がこうやって笑っていてくれるとなんだか私も嬉しくなる。


「あっ、茜ちゃんだ。もう大丈夫なの?」


席に座ったところで、私に気づいてくれたクラスの女の子が何人か声をかけてくれた。

その中には修学旅行が同じグループの小春ちゃんと桜ちゃんもいて、私というよりは胡桃のそばへと寄っていく。


「茜ちゃんが元気になってくれてよかったよ~」

「本当本当。胡桃ちゃん、昨日はずっと落ち着かなかったんだもんね~」

「そ、そんなこと……っ」

「あはは、ほんっと仲良しだよね。茜ちゃんと胡桃ちゃんって」


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