ロスト・ラブ


『男嫌い』って……、あれ。

私の予想とは違う颯太の態度に驚きながらも、心の中では恐怖症のことが知られていないことにホッとする自分もいた。


だってあんなこと……颯太にだけは知られたくない。


「……やっぱあれは夢の中の話か」

「え?」

なにかポツリと言った颯太の言葉を聞き逃して首を傾げるけど、「別に」とまた視線を外される。


今日はもう、ずっとこれかな。

颯太が目を見てくれることに色んな意味でドキドキして、でもそらされるとなんだか少し寂しくて。


「茜」

「……っ!」

それなのに、名前を呼んでもらえるとやっぱり嬉しいだなんて、都合がいいにもほどがあるとは思う。


けど。

「あんま無茶すんじゃねぇぞ」

「え?」

「1人で何とかしようとする前に、まず俺に相談しろ」

「颯太……?」


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