ロスト・ラブ
テストなんてそっちのけだった。
今日一日かけて返却された各教科のテスト用紙の点数は過去最悪。
赤点だけは1つもなかったのが奇跡かもしれない。
……颯太とは、あの日以来ロクに話せていない。
胡桃と須藤くんと4人でやってた勉強会も、あの日を境にぱったりとなくなった。
一緒にしてた登下校だってもちろんない。
前は何故か時間が丸被りしたりもしていたいたけれど、それも不自然なくらいになかった。
胡桃とふたりでした勉強も、頭の中のほとんどが颯太のことばかりでもう散々。
「茜ちゃん~……。胡桃、英語が……。数学も、物理も……」
帰りのHRも終わり、帰り支度をする私の後ろの席から、胡桃の絶望的な声が聞こえた。
体の向きを変えると、その机の上には何とも悲しい点数が書かれた3枚のテスト用紙が広がっている。
どうやら胡桃は、その3教科が赤点だったらしい。
机にうなだれて、私よりもテストの結果に落ち込んでいる胡桃の頭をポンポンと撫でた。