ロスト・ラブ
今この場所で話すべきことじゃない。
こんな話の流れで話せるような内容でもない。
そう、思うはずなのに、いつかは話さないとと思っていた中学時代のあの事件を、私は気が付けばすべて胡桃にさらけ出してしまっていた。
手が震える。
何より、胡桃にこんな汚れた話をして嫌われるのが怖くてたまらない。
それでも、話す私の目の前にいる胡桃がボロボロ泣き始めているのを見て、最後まで話そうと思えた。
胡桃の泣く姿に胸が締め付けられるのに、一度溢した弱音は、どんどんあふれて止まらなくなってしまって。
「……泣かないで、胡桃」
全て話し終わる頃には、私はボロ泣きする胡桃に抱きしめられていた。