ロスト・ラブ
「いいから、お前早く帰れ」
あぁ、だめだ。
どんなに素っ気なく告げられる言葉でも、全部わかってしまう。
胡桃のせいだよ。
胡桃が、私に教えてくれたりするから。
『柳くんね、言ってたよ。"茜のことは、何があっても俺が守るから"って』
大人しく靴を履いて、私は帰路を歩き出した。
そこから少し後ろに距離を空けて、颯太も同じく歩き出す。
その行動すべてに、我慢していた涙が遂にポロリとこぼれた。
……待って、くれてたんだ、よね……?
颯太が後ろにいてくれてよかった。こんな顔、絶対に見られたくない。
「……いつまでついてくるのよ」
「くだらねぇこと聞くな」
きっと颯太は、私が家の中に入ったのを確認するまでそばにいてくれる。
それがわかっているのに、可愛くない私は憎まれ口ばっかりだ。
「ねぇ」
「んだよ。いいから黙って歩け……」
「私がただの"男嫌い"じゃないこと、いつから知ってたの?」
「……っ!」