ロスト・ラブ
ピタッと、一瞬颯太の足音が止まったのがわかった。
それでも、歩を進める私に合わせて再び歩き始める。
振り返ってはいない。けど、わかった。
……颯太が、動揺してる。
「なんの話して……」
「誤魔化さないでよ」
「………」
ここまで来たら、全部知りたい。
いつから知ってるのか、……どこまで知ってるのかも、全部。
あのテスト勉強の日から、私と目すら合わせようとしなかった颯太。
それなのに今は、一緒に帰ってくれている。
こんなの、理由がないわけがない。
ピタッと足を止めて、私は後ろを振り返った。
大丈夫。もう涙は出ていない。
「お願い、颯太。教えて」
こんなにも真っすぐ颯太の目を見たのは久しぶりかもしれない。
緊張してるのか、心臓がドキドキと音を立て始めた。