ロスト・ラブ
春。新学期。
「え」
「うわ」
私は、新しい2年生のクラス表を眺め、顔をしかめた。……隣の、彼と一緒に。
「また一緒とか信じらんねぇ」
「それこっちのセリフなんだけど。もう勘弁してよ〜……」
何度見ても、やっぱり2年3組のクラスには私と彼の名前がある。
沢野茜と、柳颯太の名前が。
私たちは、世間でいう幼馴染という関係だ。
幼稚園から数えたら、クラスは14年連続一緒。この数字はもはや恐怖でしかない。
「もう、着いてこないでよ」
「仕方ねぇだろ、同じクラスなんだから」
幼稚園の頃から繰り返してきた。家を出たときから教室に入るまで、私の隣にはずっと颯太がいる。
どうやら今年もその生活は変わらないらしい。
幼馴染っていうのは、本当に厄介だ。
物心ついたときから私の隣にはいつも颯太がいて、颯太の隣にもいつも私がいたから。