ロスト・ラブ
なんでお前が謝る?
なんで俺のこと責めないんだよ。なんで怖がらないんだよ。
わけがわからなくなりそうで、いっそのこと目の前のこいつを抱きしめて、泣き止ませてしまいたいとさえ思ってしまうのに、それもできない。
ただただ泣き続ける茜のことを、俺は拳を握り締めて見ていることしかできなかった。
「……ごめん、颯太」
「……頼むから、もう謝んな」
「うん……ごめん」
茜が落ち着いたころには、2人揃って憔悴しきっていた。
目の前のローテーブルには、ティッシュの山。
「……じゃあ、2年生で同じクラスなのも、颯太は知ってたんだね」
「……あぁ、薫に頼んだからな」
なんだか、さっきよりもお互い冷静に会話ができているのが不思議な感覚で。
「そっか。あ、じゃあ修学旅行のメンバーが同じなのも」
「あー……、まぁ、そーだな」
「他のメンバー決める時も、そういえば颯太が女子入れようって言ったんだっけ」
「……よく覚えてんな、そんなこと」
たくさん泣いてすっきりしたのか、茜の声は心なしか楽しそうに聞こえた。