ロスト・ラブ


颯太とのわだかまりが解けたことは、終業式の日に胡桃に話した。


胡桃があのとき背中を押してくれたからこそ、今があると言っても過言じゃない。


話した時には胡桃はまた涙を浮かべていた。「よかった、よかった」と、そう言って。



「ごめん、待った?」

校門まで出ると、そこには颯太と須藤くんがいた。


「ううん。僕らもついさっき着いたところだから。あ、篠原さん、補習お疲れ様」

「うぅ……胡桃だけ補習なんてなんか恥ずかしい」


相変わらずにこやかな須藤くんにも、なんだかだいぶ慣れた気がする。


今日はこの4人で出かけることになっていた。

私と胡桃は制服だけど、2人は私服だからなんだか変な感じ。


「ごめんね?須藤くんにまで買い物につき合わせちゃって」

「え、全然だよ。僕も買い物好きだし。それに、沢野さんとも話がしたかったしね」

「え?」


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