ロスト・ラブ


「ありがとう、胡桃。大事にするね」

「うんっ」


左の耳に髪をかけて、それをヘアピンで留めた。

胡桃が嬉しそうに「似合ってる」と笑ってくれるから、私まで嬉しくなってしまう。


「あれ。篠原さんと沢野さんのそれ、もしかしてお揃い?」


そのあとで須藤くんに気づいてもらった時には、胡桃は「いいでしょ?」なんて自慢気に話していた。



そのあとは4人でショッピングモールに向かって、いろいろなところを回って。


「茜お前、あんま離れたとこ行くなよ」

「わ、わかってるってば」


その間もずっと、颯太は私のそばにいてくれるものだから、なんだか気恥ずかしくて素直になれない自分がいた。



「あ、茜ちゃん!見て、これ!」


買い物中、突然胡桃が掲示板の前で止まった。


「『夏の花火大会』?」

「来週だって!楽しそう~!」


そこにあったのは、大きな花火の写真が載っている花火大会のポスター。

日付は、来週の日曜日だ。


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