ロスト・ラブ
「……ありがと」
「ん」
こそっとお礼を言って、思う。
私ってば、颯太に助けてもらってばっかり。
「んで?結局どこ回るんだよ?」
「あっ、そうだった!」
最終的には颯太が話をまとめてくれて、修学旅行の計画はだいぶ進んだところで今日のHRは終わった。
***
「ねー、胡桃」
「なぁに、茜ちゃん」
その日の昼休み。
いつものように胡桃とご飯を食べながら、私はずっと思っていたことを胡桃に相談してみることにした。
「……私、颯太になにかできることないかな」
ポロッと、胡桃がお箸でつかんでいたプチトマトを落としたのはその直後。
驚いたように目を丸くして、胡桃は私を見る。
「え、ちょ……胡桃?」
そんな反応をされるなんて全く思っていなくて、思わず立ち上がって胡桃へと手を伸ばした。
──パシッ
「へ?」
けれど、その手は胡桃に握られて動きが止まる。