ロスト・ラブ
「茜ちゃん、可愛い!」
「えーっと……?」
そして何を言われるかと思えば、胡桃が発したのはそんな言葉だった。
やっぱり変だった……かな。
胡桃に言われた『可愛い』の意味が全く分からなくて、次は私が目を丸くする。
「柳くんに、何かしてあげたいんだ?」
「う、うん……まぁ。今までずっと助けてもらってたし、私も何かしたいなー……なんて」
あまりにも胡桃がキラキラとした目で見つめてくるものだから、なんだか喋りずらくて少し視線をずらす。
その間も、私の手は胡桃にがっつり握られたままだった。
「ふふっ、そっか~。ふふふ」
「……なに?その笑顔」
「え~、だって、嬉しくて」
へへ、とずっと口角が緩んでいる胡桃は、確かになんだか嬉しそう。