ロスト・ラブ


な、なんで。

……なんで、そんな顔するの?


「俺の好きな人がどうだとか、んなの茜に心配される筋合いねぇよ」

「あ……ごめん」


しばらくなかった颯太からの冷たい言葉に、思わず目をそらしてしまう。


不意に、繋がったままの颯太の手が力強くなった。


「このまま無理やり引き寄せて抱きしめることなんて簡単なんだ」

「颯太……?」

「でもそんなの、お前じゃないとしない」


落ちついた声のトーン。

視線をそらしていたことに今になって後悔した。


バッと顔を上げたところで、颯太の表情はもういつも通り。


今、どんな顔をしてたの……?


颯太の今の言葉が何度も頭の中で再生される。


私じゃないと、って、どういう意味……?


あんな会話の流れでそんなわけないのに、自分に都合のいいように解釈してしまいそう。


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