ロスト・ラブ


「わ、私だって。颯太以外の人に……されたく、ない」

「っ……!」


小さな小さな、本当に情けないくらい小さな声で出たその言葉は、しっかりと颯太の耳に届いてしまったようだった。


「バカじゃねぇの」


今度は颯太の方が視線をそらしたけれど、さっきのように耳は赤くなっていて。


……あぁ、だめ。勘違いしそうになる。

ドキドキと心臓の音が加速する。



今の感情を示す言葉は、たったの2文字。


───好き。



「じゃあ、試してみるか?」

「え?」


繋いでいた手を離した颯太が、来ていたブレザーを脱いだ。


それを手にしたまま、私の目の前に立つ。


「な、なに……?」

「嫌だったら拒めよ」


そう言った次の瞬間、バサッとブレザーが空を舞って、私の肩にかかった。


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