ロスト・ラブ
「……っ、おい」
焦ったような颯太の声が聞こえたけど、そのままシャツをギュッと掴んだ。
恥ずかしい。
熱い。
……緊張で、手が震える。
でもこの震えが、恐怖からじゃないことくらいははっきりとわかるから。
「……好き」
颯太を困らせるとか、この先どうしていきたいのかとか、そんなことを考える余裕もなくて。
「好きだよ、颯太」
ただ、好きだと。
込み上げた颯太を愛おしいと想う感情が、気づけばその言葉を口にさせていた。