ロスト・ラブ


「あ、りがと……」

「ん」

あまりにも不意打ちなその行動に、心臓は当たり前のように音を立て始める。


男子の団体が通り過ぎて行ったあとでも、繋がれた左手はそのまま。


こんな急な触れ合いでも、颯太相手ならただただ嬉しいものに変わってしまうから不思議。


「やっぱ隣にいた方がいいだろ?」

「う……」


さっきまで強がっていたくせに、よりにもよって男の人とぶつかりそうになってたんじゃ全く説得力がない。


悔しいけど、言い返せない……。

隣で、そんな私を見た颯太からクスリと笑う声が聞こえた。


「そういう強がりなとこ、昔と変わんねぇよな」


ポツリと、まるで独り言のようにつぶやいた颯太は、直後にハッとしたように口を手で覆った。


「……悪い、なんでもない」

どこか気まずそうにするその様子に、キュッと胸が痛む。


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