ロスト・ラブ


「ずっとずっと、小さいころからずっと。颯太だけが好き」


ずっと守ってくれていた颯太を、今度は私が守りたい、なんて言ったら笑われるかな。

今までしまい込んだ想いが溢れてきて、思わず涙が零れる。


「……泣くなよ」


それなのに、颯太があまりにも優しい顔をして涙をぬぐってくれるから、余計に止まらなくなってしまった。


「好きだよ、颯太」

「うん」

「幼馴染として、なんて嘘だから」

「うん」


どんどん溢れる涙も、言葉も、颯太は優しく受け止めてくれる。


「颯太は?」

「……俺?」

「颯太にとって私は、ただ守らなきゃいけない面倒な幼馴染?」


こんな聞き方、我ながらズルいと思う。

でも、ちゃんと颯太の言葉が聞きたい。


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