ロスト・ラブ
***



「ダメだ、ニヤニヤが止まらないよ茜ちゃん」

「うん、胡桃それ言うの今日でもう4回目」


次の日は、朝から胡桃がずっとこんな調子だった。


昨日の夜報告した時には大泣きまでされて。


「茜ちゃんが幸せそうで胡桃も幸せ」

そう言ってくれる親友の存在に、私は何度助けられたことか。


「柳くん!茜ちゃんを幸せにしないと許さないからね!?」


ビシッと胡桃に言われた颯太も、少し押され気味な様子だった。



「胡桃ちゃーん!来て来てっ、こっちに美味しそうなの売ってるよ!」

少し先ではしゃいでいる小春ちゃんたちに呼ばれて、胡桃は離れていく。


「……篠原のやつ、なんであんなに嬉しそうなんだよ」

「ふふ、可愛いよね」

「お前は本当、篠原に甘いよな」


相変わらず私の隣にいてくれている颯太も、なんだか昨日と比べて少し吹っ切れているみたいだった。


そうなってくれたことも、そうなったことに気づけたことにも嬉しくて、つい頬が緩む。


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