ロスト・ラブ


「あー……いや。修学旅行、行くのか?」

「っ、え」


そしてさらに思ってもみなかった質問に、今度は咄嗟に目をそらした。


「な、なんで」

「お前、中学んとき休んでただろ」

「あー……、そうだったね」


へらっと笑ってはぐらかす。

覚えて、たんだ。


覚えられていることが都合が悪いような、でも覚えててもらって嬉しいような、複雑な気分。


確かに私は、中学校の頃の修学旅行には参加しなかった。


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