ロスト・ラブ
「また同じクラスだね!茜ちゃんがいてくれてよかった〜」
「私も胡桃と同じで安心したよ〜……。またよろしくね!」
「もちろん!」
嬉しくて頬を緩めながら、一緒に廊下から2列目の席へ向かう。
胡桃と私は、『沢野』と『篠原』で出席番号は前後。
それがきっかけで1年の時に仲良くなれたし、今回のこのクラスでも私の後ろの席は胡桃だった。
「あ、ねぇ」
席に着いて胡桃と話していると、横から声をかけられた。
声からしてその人物は明らかに男子生徒。けど、私はその顔を見上げはしない。
「キミ、胡桃ちゃんでしょ?1年のとき2組だった」
「え……?あ、はい。そうですけど……」
「やっべー。まじ可愛いじゃん。ねぇ、連絡先教えてよ。せっかく同じクラスになれたわけだし」
名乗りもしないその人は、可愛い胡桃に鼻の下を伸ばして言い寄り始める。
……本当、勘弁して。