ロスト・ラブ


……どうしても思い出してしまうのは、お昼の颯太の言葉。


なんとなく、ベッド横にあるサイドテーブルに目を向ける。


目覚まし時計の横にある倒れた写真たてを、久しぶりに手に取った。


「……さっさとしまえばいいのにね」


そうは思うものの、かれこれ小学生のころからずっと、この写真たての位置は変わっていない。

中身の写真も、ずっと同じ。


「ちっちゃいなぁ」


そこに写っているのは、だいぶ幼い私と……颯太。

近所の公園で、2人楽しそうに笑っている写真だ。


小学校低学年だっただろうか。

お互い顔には砂がついていて、満面の笑みでカメラに向かって思い切りピースをしている。


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