ロスト・ラブ
楽しかったなぁ。
今ではもうあり得ない、私と颯太の距離感。
颯太くん、颯太くん、なんて、毎日キラキラしていた自分が懐かしい。
もう颯太は私のことなんか大嫌いだろうし、私だって……。
「………」
そこまで考えて、これ以上写真を見るのはやめた。
写真たては、やっぱりしまわずにサイドテーブルの上に倒して置く。
一瞬だけだったけど、颯太が私の心配をしてくれたことに心がゆらゆらしていた。
込み上げてきてしまいそうな感情には、気づかないふりをする。
この日は久しぶりに、楽しかった過去の夢を見た。