ロスト・ラブ
須藤くんの肩を掴んだ颯太は、何故か少し機嫌が悪そう。
「コイツにむやみに近づくなって言ったろ」
「ごめんごめん。どうしても興味に抗えなくて」
不機嫌な颯太とはまるで対照的な須藤くん。
どうしてこの二人が仲良しなのかがちょっと不思議だ。
見た目だって、須藤くんはブラウンカラーの髪色に、メガネをかけていて落ち着いた雰囲気。
黒髪でニコリともしない颯太とはだいぶかけ離れている気がする。
「ごめんって颯太。でも、颯太の言いつけはちゃんと守ってるだろ?」
「は?」
「ほら。机1個分、ちゃんと沢野さんから距離は取ってる」
誇ったようにそう言った須藤くんの言葉に、颯太ではなく私が目を丸くした。