ロスト・ラブ
「あーぁ。また喧嘩か」
事の一部始終を見ていた須藤くんが、何やら呆れた様子で颯太の肩をポンとたたいたのが視界の端で見えた。
「茜ちゃんおはよう~って、あれ?柳くんと須藤くん?」
そんないいタイミングで、やっと胡桃が登校してきた。
私の周辺に彼ら2人がいることに気が付いて、不思議そうに首を傾げる。
「おはよう、篠原さん」
「あ、うん。おはよう須藤くん。えーっと……これは一体?」
「あぁ、沢野さんにあいさつでもしようと思ってね」
須藤くんの笑顔の対応は胡桃でも変わらず。
でも彼のその言葉に、胡桃はたぶん過剰に反応した。