ロスト・ラブ


「ほら、もう予鈴鳴る。戻るぞ、薫」


教室の時計を確認した颯太がそう言って、彼らは離れていった。


胡桃も胡桃で、私の後ろの自分の席に腰を下ろす。


「ありがとうね、胡桃」


振り返って胡桃にそう声をかけると、胡桃はへらッと笑った。


「もう少し早めに登校してくればよかった」

「ううん、大丈夫だよ。なぜか変に距離とってくれてたし」

「ならいいんだけど……。茜ちゃん、須藤くんには気を付けてね」


心配そうにそう言ってくれる胡桃に、コクリと頷く。


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