ロスト・ラブ


自動販売機にお金を入れようとしたところで、背後に気配を感じた。


「あっれー、沢野さんじゃん」

「っ、」


真後ろ。楽しそうに私の名前を呼ぶその声。

振り返ろうと思っても、途端に体の全部が重くなって言うことを聞かなくなった。


やばい。……やばい。

頭の中でそんな3文字の危険信号が鳴り響く。


まだ背後からのその声の主の姿は確認してないけど、ついさっき私の前に飲み物を買っていた部活動の生徒だというのはなんとなくわかった。


「うわー、反応なし?」

「さっすが男嫌いの沢野さん。俺らの存在なんて無視ですかー」


背後でケラケラと笑い声が聞こえる。


震え始めた足でゆっくり振り返ると、その男子2人は嫌悪の目で私を見下ろしていた。


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