ロスト・ラブ
「……あ、えっとね。せ、先生!先生が連れてきてくれたの。その、えと……、佐藤先生が」
「佐藤先生……?」
「うん。そう。それで、教室にいた胡桃に知らせてくれて……」
しどろもどろに状況を話してくれる胡桃に、思わず首を傾げる。
担任の佐藤先生が、私を運んでくれた……?
いくら大人でも、女性である先生が私を抱えるのはなんとなく想像できない。
「ね、胡桃。それって……」
それって、本当に?
そう胡桃に聞くよりも先に、保健室の扉が開いた。
「あら、沢野さん目が覚めたの?」
出かけていたのであろう保健の先生が、中に入ってきて私の顔を確認するなりニコリと笑う。