ロスト・ラブ


「そう?あんまり無理はしないでね」

「はい。ありがとうございました」


ベッドを下りて、私は胡桃と保健室を出た。


気を失っていたのはそんなに長くなかったのか、窓の外見る限り日はまだ完全に落ちていない。


今日は胡桃と出かける予定だったから、いつもより帰りが遅くなることを事前にお母さんに伝えてあったのが救いだ。まだ、間に合う。


スマホを取り出して時間を確認した私の手を、胡桃がギュッと握り締めてきた。


「茜ちゃん。胡桃、家まで送っていく!課題もね、さっきちゃんと終わったんだ。だから……」


まだ涙目の胡桃に、何とも言えない気持ちが込み上げてくる。


……本当、私はいい親友を持ったなぁ。



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